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「ひのさんぽ」

ひのさんぽ 第5号

2020-04-10
  4号を出してから久しく時が経ってしまっていた。今回はセンチメンタルな書き物を。
 2020年4月8日と9日はスーパームーンということで、夜、空を見上げてみた。私にとっては久しぶりに見る月なので大きさの違いは判らなかったけれど、本当に月は美しく大きく輝いていた。こんな時に新型コロナウイルスで、街は緊急事態宣言により自粛となった。桜はこの事態を横目に、満開からすでに桜吹雪で路上に桜のじゅうたんとなり、花はハナミズキやツツジへと変わっていく。人の心も現実も、それに乗って移ろいで行けばいいのに。心はどこかの隙間に挟まったままで動けないでいる。手を伸ばして助けが来るのを待っているの?しかし、その手は遠くに延ばされて、私のすぐそばには見えないし、届かない。私はその手に何を期待し、何を待っていたのだろうかと考え、私はその場で縮こまって行き場を失ってしまう。月が夜空で一番美しく見えるこの日、私にはその月の明るい光さえ届かず、月の影しかここにはないと気づく。いつ私のもとにも月の明るい光は届くのだろうか。こんな春の光を浴びて、花々は誇らしげに咲き、楽し気に唄い、喜びにあふれた顔を見せているのに。私は月の光のもとでもいいから咲いていたいのに。特にこんな大きな月の光がある時には。
 
 
 
 
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